
- 個人間不動産売買契約書テンプレート(全30条)を、ケース別5パターンの選び方・落とし穴20項目チェックリスト・物件状況確認書・付帯設備表つきで無料ダウンロードできる
- 親子間・親族間売買での贈与税回避・離婚時の不動産分与の手順がわかる
- 個人間売買で住宅ローンを組む方法と所有権移転登記の進め方がわかる
同梱している5パターンの選び方
配布しているのは全30条の契約書1本です。冒頭に「5パターンの選び方」の表があり、頭書の「適用パターン」欄で □①〜□⑤ にチェックを入れ、そのケースに合う売買形態・特約を選んで使います(第12条(契約不適合責任の特約)はパターン別に3通りの文例に分かれています)。
| パターン | 想定ケース | 推奨される売買形態 |
|---|---|---|
| ① | 親子間・親族間の土地建物譲渡(贈与税対策含む) | 実測売買/現状有姿/契約不適合責任 免責特約あり |
| ② | 知人間の中古戸建売買(築20年超) | 現状有姿/契約不適合責任3か月限定/第三者検査推奨 |
| ③ | 中古マンションの個人間売買 | 公簿売買/管理規約遵守/修繕積立金精算 |
| ④ | 空き家・古家付き土地(解体予定) | 現状有姿/古家解体費用は買主負担/契約不適合責任 全部免責 |
| ⑤ | 農地・山林・雑種地の個人間売買 | 公簿売買/農地の場合は農地法第3条の許可が必要/境界確定必須 |
個人間不動産売買のメリットと3大トラブル
個人間売買の最大のメリットは仲介手数料の節約です。売買代金3,000万円の場合、 宅建業法46条 に基づく仲介手数料は売主・買主双方合計で最大193万円かかりますが、個人間売買では不要です。一方で 民法562条 契約不適合責任 の処理を当事者間で完結する必要があります。
3大トラブルと対策
- 契約不適合責任のトラブル(雨漏り・シロアリ等の隠れた瑕疵)
対策: 物件状況確認書(告知書)を作成して告知義務を果たす。特約で責任範囲を明確化する - 住宅ローン否認による契約解除
対策: 住宅ローン特約を必ず入れる。期限は余裕を持って1〜2ヶ月程度に設定する - 所有権移転登記の遅延・忘れ(二重譲渡リスク)
対策: 残代金支払いと同日に司法書士に依頼して登記を完了させる
個人間売買契約書の書き方(個人間特有の5条項)
- 現状有姿売買の明記:「現状のまま引き渡す」旨を明確に記載する。修繕・クリーニングの義務を負わないことを合意事項として盛り込む
- 物件状況確認書(告知書)の添付:雨漏り・シロアリ・給排水管の不具合等、知っている瑕疵を全て開示する書類を別紙として添付する
- 契約不適合責任の任意特約:個人間売買では「引渡し後の契約不適合責任は負わない(免責)」または「○年以内の告知外の瑕疵に限り責任を負う」等の特約を入れられる
- 所有権移転登記の手順を明記:「残代金支払い同日に売主の司法書士への委任状交付を行い、登記申請を行う」旨を明記する
- 印紙税負担の明記:「売主・買主各自が1通ずつ保管し、各自が自己保管分の印紙税を負担する」等と記載する
個人間売買の印紙税額(国税庁基準)
国税庁 印紙税額一覧表 に基づく不動産売買契約書(印紙税法別表第一 第1号文書)の印紙税は次の通りです。平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成する契約書には右列の軽減税率が適用されます(記載金額10万円以下は軽減の対象外で本則税率)。配布しているWord版・PDF版の「別紙3: 収入印紙貼付欄」にも同じ表を入れてあります。
| 記載金額 | 本則税率 | 軽減税率(〜令和9年3月31日) |
|---|---|---|
| 10万円超〜50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
配布テンプレート 全30条の逐条解説
下の表は、このページで配布しているWord版・PDF版の条番号そのものです(頭書+第1条〜第30条+別紙3点の構成)。ダウンロードしたファイルを開いて、同じ番号の条文を見ながら読んでください。仲介業者を介さない個人間売買では、当事者双方がこれら全条項の意味を正しく理解しておくことが安全な取引の前提になります。
| 条文 | 条名 | 要点 |
|---|---|---|
| 第1条 | 売買の目的物及び売買代金 | 登記簿と完全一致した物件特定(所在・地番・地目・地積・家屋番号)が必須。曖昧な記載は後の紛争の原因。第3項で「宅地建物取引業法は適用されない」ことを明示している |
| 第2条 | 手付金 | 頭書では売買代金の5〜10%を目安として記載。履行着手前は買主は手付放棄、売主は倍額償還で解除できる( 民法557条 の解約手付) |
| 第3条 | 売買代金の支払 | 残代金の支払は所有権移転登記の申請・鍵の引渡しと同時履行。支払期日と支払方法(銀行振込推奨)を頭書で特定する |
| 第4条 | 売買対象面積(公簿売買・実測売買) | □公簿売買/□実測売買のチェック式。公簿売買は実測差が出ても代金を増減しない。実測売買は1㎡あたりの精算単価を必ず埋める |
| 第5条 | 境界の明示・確定 | 売主は引渡しまでに境界標で境界を明示する。未確定なら土地家屋調査士による確定測量を行い、費用負担(□甲/□乙/□折半)を決める |
| 第6条 | 所有権移転及び引渡し | 代金全額の支払時に所有権が移転。鍵・付属品に加え、建築確認済証・検査済証・設計図書・管理規約等の書類も同時に引き渡す |
| 第7条 | 所有権移転登記等 | 登録免許税と司法書士報酬(移転登記分)は買主負担。売主は抵当権・質権・賃借権等を引渡しまでに自己の負担で抹消する |
| 第8条 | 抵当権等の抹消 | 住宅ローンが残っている場合の段取り条項。抹消登記の費用は売主負担と明記している |
| 第9条 | 引渡完了前の滅失・毀損(危険負担) | 引渡し前の天災等による滅失は買主が解除でき、手付金は無利息で返還。毀損は売主が修復し、修復困難なら解除できる |
| 第10条 | 公租公課等の精算 | 固定資産税・都市計画税等を引渡日基準で日割り精算。起算日は□1月1日(関東方式)/□4月1日(関西方式)のチェック式なので、必ずどちらかを選ぶ |
| 第11条 | 契約不適合責任(民法562条以下) | 民法562-564条 準拠。通知期間は□3か月/□6か月/□1年から選ぶ。物件状況確認書に告知した事項は対象外になる |
| 第12条 | 契約不適合責任の特約(5パターン別) | パターン①②③は3か月・4項目限定、④(古家解体予定)は建物全部免責・土地1年、⑤(農地山林)は建物に準ずる責任を適用しない |
| 第13条 | 住宅瑕疵担保責任保険(任意) | 中古住宅なら既存住宅売買瑕疵保険を任意で検討できる。検査費用・保険料は買主負担 |
| 第14条 | 第三者検査(建物状況調査・インスペクション) | 買主が自費で建築士等の調査を実施できる。未告知の重大な不具合が出たら解除・代金減額を請求できる |
| 第15条 | ローン特約(融資利用の特約) | 住宅ローン否決時の白紙解除条件。承認期限・金融機関名・融資金額の3つを空欄のままにしない。埋めないと特約が働かない |
| 第16条 | 物件状況確認書(売主告知書) | 別紙1を契約時に交付する。虚偽告知は損害賠償責任。未記載事項に重大な不具合が出れば第11条の契約不適合責任を適用する |
| 第17条 | 付帯設備表 | 別紙2を契約時に交付する。「有・正常」と書いた設備は引渡し時もその状態であることを保証する |
| 第18条 | 契約違反による解除 | 催告のうえ解除でき、違約金は売買代金の20%相当額 |
| 第19条 | 反社会的勢力の排除 | 双方が反社でないことの表明保証。違反時は無催告解除+違約金20%。現代の不動産契約では必須条項 |
| 第20条 | 管理規約等(区分所有建物の場合) | 中古マンション(パターン③)で使う条項。管理費・修繕積立金も引渡日基準で日割り精算する |
| 第21条 | 農地法等の許可(農地の場合) | パターン⑤で使う条項。農地法第3条(権利移動)または第5条(転用)の許可が必要で、許可が下りなければ契約は自動的に解除される |
| 第22条 | 私道負担・通行掘削 | 私道負担の持分・面積・位置を別紙に明示。通行掘削承諾書が要る場合は売主が引渡しまでに取得して交付する |
| 第23条 | 隣地境界トラブル | 判明済みの越境・塀の所有権争い等は売主が別紙に明示。引渡し後に判明した分は原則買主対応だが、売主が知りながら黙っていた場合は別 |
| 第24条 | 心理的瑕疵の告知 | 自殺・他殺・事件事故死・孤独死等を知る限り告知する。国交省ガイドラインは賃貸で概ね3年の目安を示す一方、売買には期間の目安が無い |
| 第25条 | 司法書士の選定 | □甲指定/□乙指定/□双方協議のチェック式。報酬は移転登記が買主、抹消登記が売主の負担 |
| 第26条 | 専門家活用の推奨 | 弁護士5〜15万円・建築士5〜10万円・税理士3〜5万円の目安を条文に書き込んでいる。費用は依頼した当事者の負担 |
| 第27条 | 特約事項 | 3行の空欄。ケース別の取り決め(残置物の扱い・引渡し猶予など)をここに書く |
| 第28条 | 通知 | 通知は書面または電子メール。連絡先が変わったら速やかに相手方へ知らせる |
| 第29条 | 合意管轄 | 物件所在地の地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。紛争時の遠隔地訴訟リスクを回避 |
| 第30条 | 協議 | 契約書に定めのない事項は信義誠実の原則に従い協議で解決する旨を規定 |
特に第11条・第12条(契約不適合責任とその特約)と第15条(ローン特約)は、個人間売買において最もトラブル化しやすい条項です。チェック欄と空欄を埋めないまま署名すると、いざというときに特約が働きません。高額物件では弁護士による契約書チェックを強く推奨します。
親子間・親族間売買の特別な注意点
- 贈与税みなし課税の回避:市場価格(実勢価格)で売買することが必須です。路線価など実勢価格より低い評価額での売買は、差額が贈与とみなされる可能性があります( 国税庁 No.4423 参照)
- 実勢価格の確認方法:不動産会社への査定(一括査定サービスが便利)または不動産鑑定士への鑑定依頼で確認します
- 親族間ローンの注意点:金銭消費貸借契約書の作成・返済スケジュールの明記・通帳等による返済実績の証拠保存が必要です。国税庁は「借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は贈与として取り扱われる場合がある」「『ある時払いの催促なし』『出世払い』というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われる」としています( 国税庁 No.4420 親から金銭を借りた場合 )。適用する金利水準は取引ごとに異なるため、税理士に確認してください
離婚に伴う不動産分与の場合
- 財産分与か売買かの選択:財産分与は贈与税が非課税ですが、譲渡所得税は課される場合があります。どちらが有利かは税理士への確認をお勧めします
- 共有名義の解消方法:①売却して代金を分ける②一方の名義に統一する(売買または財産分与)③そのまま共有を続ける(離婚後はトラブルが多いため非推奨)
- 住宅ローン残債がある場合:金融機関の承諾なしに名義変更はできません。オーバーローン(残債が売却価格を上回る)の場合は任意売却を検討する必要があります
個人間売買で住宅ローンを組む方法
- 対応している金融機関:一部の地方銀行・ネット銀行が個人間売買向けの住宅ローンを取り扱っています。大手メガバンクは対応していない場合が多いです
- 必要書類:売買契約書(個人間用)・物件の登記簿謄本・固定資産評価証明書・物件の図面等が必要です
- 審査通過のコツ:物件の担保評価(固定資産評価額・実勢価格)と申込人の年収・勤続年数が審査の主要因です
所有権移転登記は司法書士に依頼する
個人間売買でも所有権移転登記は司法書士への依頼が一般的です。費用は5〜10万円程度ですが、二重譲渡防止・書類の正確性確保という安全面での価値があります。
仲介売買 vs 個人間売買 vs 公正証書化の比較
| 比較項目 | 仲介売買 | 個人間売買 | 個人間+公正証書 |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買代金×3%+6万円×双方 | 0円 | 0円 |
| 重要事項説明 | 宅建士による義務 | なし(買主が自衛) | なし |
| 契約不適合責任 | 原則あり(特約調整可) | 免責特約が一般的 | 免責特約が一般的 |
| 強制執行可能性 | 裁判が必要 | 裁判が必要 | 公正証書で即可能 |
| 所有権移転登記 | 司法書士が代行 | 本人申請可・司法書士推奨 | 同左 |
| 追加費用 | 仲介手数料のみ | 司法書士費用5〜10万円 | +公正証書化費用(売買代金の0.05〜0.3%) |
| 適したケース | 初めての売買・第三者間 | 親族間・知人間で信頼関係あり | 分割払い・代金未払いリスクあり |
個人間売買の落とし穴チェック(時系列15項目)
下の15項目は「いつ何を確認するか」を時系列で並べたものです。配布しているテンプレートの1〜2ページ目には、これとは別に登記簿・境界・接道・ハザードマップ・農地法など物件調査に絞った20項目のチェックリストが入っています。両方を突き合わせて使ってください。
契約前チェック(5項目)
- 登記簿謄本で現在の所有者・抵当権の状況を確認した
- 不動産の市場価格(実勢価格)を一括査定等で確認した
- 物件の現状(雨漏り・シロアリ・給排水管等)を売主に確認した
- 住宅ローンを使う場合、対応している金融機関を確認した
- 固定資産税・都市計画税の年額を売主から確認した
契約時チェック(5項目)
- 物件の表示が登記簿謄本と完全に一致している
- 手付金の性質(解約手付)を明記した
- 住宅ローン特約の承認期限を明記した
- 物件状況確認書(告知書)を別紙として添付した
- 印紙税の負担方法を明記した
引渡し後チェック(5項目)
- 残代金支払いと同日に所有権移転登記を完了させた
- 固定資産税の名義変更を市区町村役場に届け出た
- 火災保険の名義変更を完了させた
- 鍵の引渡し数(スペアキー含む)を確認した
- 残置物がないかを引渡し時に確認した
物件調査に絞った20項目のチェックリストは、ダウンロードしたWord・PDFの1〜2ページ目に収録しています。
個人間売買契約書のNG例10個
実際にトラブルとなった個人間売買契約書のNG例を10パターン紹介します。各NGの実害と回避策をセットで把握し、契約書作成時の漏れチェックに活用してください。
- NG1: 物件特定が曖昧(地番だけ・登記簿不参照)
実害: 隣地と取り違え発覚→契約無効・登記やり直しで数十万円の追加費用
回避策: 登記簿謄本を取得し、所在・地番・地目・地積・家屋番号を完全一致でコピーする - NG2: 売買代金の税込/税抜不明
実害: 引渡し時に消費税分(建物価格の10%)の支払義務で揉める→数十〜数百万円の負担争い
回避策: 「総額○○円(うち建物○○円・消費税○○円・土地○○円)」と内訳を明記する - NG3: 手付金と内金の混同
実害: 手付解除のつもりが内金扱いされ解除不可・違約金発生
回避策: 「本手付は解約手付とする」と明記。民法557条準拠を契約書内で示す - NG4: 残代金支払時期の不明確
実害: 売主の引越し計画が崩れる・買主の住宅ローン実行日とズレて二重金利発生
回避策: 「○年○月○日までに振込」と確定日付を明記。同時履行原則を確認 - NG5: 所有権移転時期と引渡時期の不一致
実害: 所有権移転後に売主が居座り→明渡訴訟で半年以上の遅延
回避策: 残代金支払・所有権移転・引渡しを同日同時履行とする条項を入れる - NG6: 公租公課精算規定なし
実害: 固定資産税・都市計画税の負担で揉める→年額10〜30万円の負担争い
回避策: 引渡日基準で日割り精算する旨と起算日(1月1日 or 4月1日)を明記 - NG7: 契約不適合責任の期間記載なし
実害: 引渡し1年後の不具合でも責任追及される→修繕費数百万円の負担
回避策: 「引渡しから3ヶ月以内に通知された不具合に限り責任を負う」等の特約を入れる - NG8: 融資特約の期限記載なし
実害: 住宅ローン否決でも解除不可・手付金放棄・違約金発生
回避策: 「○年○月○日までに融資承認が得られない場合は白紙解除」と承認期限を特定 - NG9: 反社条項なし
実害: 司法書士が登記受託拒否・金融機関がローン承認拒否→契約頓挫
回避策: 双方の表明保証・違反時の解除権・損害賠償条項を必ず入れる - NG10: 管轄裁判所未定(紛争時に困る)
実害: 売主東京・買主大阪で物件が福岡の場合、訴訟提起場所で揉める→訴訟費用増・遠隔地出廷負担
回避策: 「物件所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と明記
これら10項目はいずれも、契約書作成時に1分で確認できる項目ばかりです。しかし1項目でも漏れると数十〜数百万円の損失につながります。テンプレートをそのまま使うのではなく、必ず10項目チェック後に署名捺印してください。
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参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。