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退職証明書とは:労働基準法第22条の交付義務
退職証明書は、労働者が退職した事実とその条件を会社が証明する書類です。 「離職票」はハローワークが発行するのに対し、退職証明書は会社が発行する民間文書という点が大きな違いです。
労働基準法第22条の規定
| 条項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 労働者が退職後に証明書を請求した場合、会社は遅滞なく交付しなければならない(交付義務) |
| 第2項 | 請求権は退職の日から2年間(時効) |
| 第3項 | 労働者が請求しない事項は記載してはならない(過剰記載の禁止) |
| 罰則 | 交付を拒否した場合、30万円以下の罰金(同法120条1号) |
退職証明書・離職票・在職証明書の違い
| 書類名 | 発行者 | 主な用途 | 法的根拠 |
|---|---|---|---|
| 退職証明書 | 会社 | 転職先提出・社会保険手続き・離職票の代替 | 労基法22条 |
| 離職票 | ハローワーク | 失業給付(雇用保険)の受給申請 | 雇用保険法 |
| 在職証明書 | 会社 | 現在の在職を証明(転職活動中・ローン審査等) | 法的義務なし(任意) |
退職証明書の記載5項目
労働基準法第22条第1項が定める記載できる事項は5種類です。 すべてを記載する必要はなく、労働者が請求した事項のみを記載します。
| 項目 | 記載内容の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 在職期間 | 「令和○年○月○日から令和○年○月○日まで」 | 入社日と退職日の両方を記載する |
| 業務の種類・地位 | 「営業職・主任」「経理職・一般社員」等 | 実際の職種・役職を記載する |
| 賃金 | 「基本給 月額○○万円」等 | 記載を希望しない場合は請求事項から除外できる |
| 退職事由 | 「自己都合退職」「会社都合退職(解雇)」等 | 失業給付の受給資格・日数に影響する最重要項目 |
| 解雇の場合の理由 | 「整理解雇」「懲戒解雇(就業規則○条違反)」等 | 解雇時のみ。労働者が不利になる場合は請求から除外できる |
第22条第3項により、会社は労働者が請求しない事項を記載することができません。 不利な内容(懲戒解雇の詳細事由・降格歴など)を記載させたくない場合は、 請求書に「記載を求める事項」を明示するのが有効です。
退職証明書が必要なシーン(4パターン)
1. 転職先への提出
転職先企業から「前職の在籍確認のため退職証明書を提出してほしい」と求められるケースがあります。 特に金融機関・医療機関・公的機関への転職では求められる頻度が高くなります。 在職期間・職種・退職事由の3項目を記載した汎用版が便利です。
2. 失業給付(離職票が間に合わない場合)
ハローワークに雇用保険の失業給付を申請する際、本来は離職票が必要です。 しかし離職票の発行には退職後2週間〜1か月かかることがあります。 離職票が届いていない場合、退職証明書を持参することで仮申請・受給資格の確認ができます。 最終的に離職票は後日提出が必要です。
3. ハローワーク版(会社都合の場合)
会社都合退職(解雇・倒産・雇い止め等)の場合、退職証明書に「退職事由:解雇」と明記することで ハローワークでの手続きがスムーズになります。 会社都合退職は自己都合と比べて給付日数が多く、待機期間もありません(給付制限なし)。
4. 国民健康保険・国民年金の加入手続き
退職して社会保険(健康保険・厚生年金)の資格を喪失した後、国民健康保険・国民年金に加入するには 退職日がわかる書類が必要です。 退職証明書はその証明書類として市区町村の窓口で受け付けられます(健康保険資格喪失証明書の代替として)。
離職票との違い・連携
| 比較項目 | 退職証明書 | 離職票(雇用保険被保険者離職票) |
|---|---|---|
| 発行者 | 会社 | ハローワーク(公共職業安定所) |
| 法的根拠 | 労働基準法第22条 | 雇用保険法第17条 |
| 発行タイミング | 労働者の請求があれば遅滞なく | 会社がハロワに届出後、10日〜1か月程度 |
| 主な用途 | 転職先提出・社保手続き・離職票代替(仮申請のみ) | 失業給付(雇用保険)の受給申請 |
| 労働者の請求権 | あり(退職後2年以内) | あり(雇用保険加入者のみ) |
両書類の使い分けのポイント:失業給付の最終的な受給申請には離職票が必須です。 ただし離職票が届く前に転職先への入社手続きや社会保険手続きが必要な場合は、 退職証明書を先に取得しておくと手続きが止まりません。 退職が決まったら会社に退職証明書と離職票の両方を依頼しておきましょう。
退職証明書を会社が出さない場合
退職証明書の交付を正当な理由なく拒否することは、労働基準法第22条・第120条1号違反にあたります。 会社が発行を拒んだ場合の対処手順を以下に示します。
- 書面で再請求する:口頭ではなく内容証明郵便など証拠が残る方法で請求する
- 労働基準監督署に申告する:会社所在地を管轄する労基署に相談・申告する(無料・匿名可)
- 都道府県労働局に申告する:総合労働相談コーナーでも相談可能
- 弁護士に相談する:未払い残業代・不当解雇など他の労働問題と合わせて対応できる
罰則:交付義務違反には「30万円以下の罰金」が定められています(労基法120条1号)。 会社が応じない場合は、労基署への申告が最も効果的です。
退職証明書を出さない会社・不当解雇・残業代未払い
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転職先への提出時の注意点
転職先に退職証明書を提出する際は、記載内容の選択が重要です。 以下の点を押さえておきましょう。
不利な記載(懲戒解雇等)の扱い
懲戒解雇や問題行動を理由とした解雇の場合、詳細な解雇理由が退職証明書に記載されると 転職活動に不利になります。 労基法第22条第3項の「請求しない事項は記載不可」ルールを活用し、 解雇理由の詳細の記載を請求事項から除外することを検討してください。 ただし「退職事由」(会社都合・自己都合の区分)は失業給付に直結するため、 必要に応じて適切に記載を求めてください。
転職先に提出する際の記載推奨事項
- 在職期間:入社日・退職日の明記(経歴詐称リスクを回避)
- 業務の種類:職種の確認(入社後の業務内容との整合性チェック)
- 退職事由:「自己都合退職」の記載で十分(詳細理由は不要)
賃金・解雇詳細理由は、転職先への提出では記載しないよう請求書に明記するのが一般的です。
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失業給付の流れ(退職証明書活用)
離職票が届く前でも、退職証明書を活用してハローワークで事前確認・仮手続きができます。 流れを以下に整理します。
- 退職後すぐ:会社に退職証明書を請求(「退職事由」を必ず含める)
- 退職後14日以内:国民健康保険・国民年金の加入手続き(退職証明書を持参)
- ハローワーク訪問:離職票未着の場合は退職証明書を持参して受給資格を確認
- 離職票到着後:正式な求職の申込み・受給資格の決定
- 7日間の待機期間:全員共通(給付制限とは別)
- 給付制限:自己都合退職は原則2か月(2020年10月以降短縮)、会社都合退職はなし
自己都合 vs 会社都合:給付期間の差
| 退職区分 | 給付制限 | 給付日数(被保険者期間10年以上・45歳未満の例) |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 原則2か月(※) | 120日 |
| 会社都合退職(解雇等) | なし | 210日(特定受給資格者) |
※ 2020年10月改正により、5年間で2回目以降の自己都合退職は3か月の場合あり。ハローワークで個別確認してください。
退職証明書の「退職事由」欄の記載内容が、自己都合か会社都合かを左右します。 実態が会社都合(解雇・ハラスメント・事実上の追い出し等)にもかかわらず 「自己都合」と書かれている場合は、ハローワークや弁護士に相談することをおすすめします。
退職時の残業代未払いを確認する
退職前後に未払い残業代がないかを確認しておきましょう。賃金請求権は退職後3年間有効です。タイムカード・勤怠記録をもとに概算を算出できます。
残業代を無料で計算するWord版とPDF版の使い分け
| 形式 | おすすめの用途 | 編集 | 印刷・提出 |
|---|---|---|---|
| Word(.docx) | 会社名・在職期間・氏名などを編集して使いたい場合 | 可能(社名・日付・氏名を差し替え) | Word から印刷またはPDF保存 |
| PDF(印刷用) | 手書きで記入して提出する場合・レイアウトを固定したい場合 | 手書き記入 | 印刷してそのまま使用可能 |
| PDF(記入例) | 書き方・文言の参考として閲覧する場合 | 参考閲覧のみ | 提出には使用しない |
会社側が発行する場合(人事・総務担当者)はWordで社名・代表者名・住所を入力して印刷・捺印が便利です。 労働者が請求書として使う場合はWordで氏名・請求事項を編集して提出します。 どちらのケースも本テンプレートで対応できます。