
議事録の役割
議事録は単なる「メモ」ではありません。会議での決定事項・アクションアイテム・責任者を記録し、参加者・不参加者が後から確認できる公式な記録です。特に株主総会・取締役会の議事録は 会社法318条・369条 で作成・保存が義務付けられた法定書類でもあります。
- 業務効率化: 「あの会議で決まったこと」を毎回口頭で共有する手間がなくなります
- 意思決定の記録: 誰が・何を・なぜ決めたかを残すことで、後から経緯を追えます
- 後追い確認: 欠席者・後から参加したメンバーが内容を把握できます
- 「言った言わない」の防止: 決定事項と担当者を明文化することで、認識齟齬を防ぎます
- 法令遵守・組織防衛: 法定議事録は登記申請・株主代表訴訟・税務調査の重要証拠
議事録の書き方ガイド
議事録の種類
議事録は会議の性質によって「法定議事録」と「社内議事録」に大別されます。それぞれ作成義務・保存期間・記載事項が異なるため、最初に種類を判別することが重要です。
| 種類 | 法定義務 | 記載事項 | 保存期間 |
|---|---|---|---|
| 株主総会議事録 | 会社法318条・施行規則72条 | 開催日時/場所/議事/結果/出席役員等 | 本店10年・支店5年 |
| 取締役会議事録 | 会社法369条3項・371条 | 議事の経過/結果/出席取締役の署名押印 | 本店10年 |
| 社内会議議事録 | 法的義務なし(社内規程による) | 5W2H・決定事項・ToDo | 3〜5年が一般的 |
| 1on1議事録 | 法的義務なし | 業務進捗・キャリア・課題・次回までのアクション | 評価期間中(半期〜1年) |
議事録の必須項目(会社法準拠)
株主総会・取締役会議事録は 会社法施行規則72条・101条 で記載事項が定められています。記載を欠いても決議そのものが当然に無効になるわけではありませんが、登記の添付書面として受理されない・会社法976条7号の過料(100万円以下)の対象になる、という不利益があります。
| 項目 | 株主総会議事録(施行規則72条) | 取締役会議事録(施行規則101条) |
|---|---|---|
| 開催日時・場所 | 必須。場所に存しない者が出席したときはその出席方法(Web会議システム等)も(72条3項1号) | 必須。同じく出席方法も(101条3項1号) |
| 議事の経過の要領 | 必須 | 必須 |
| 議事の結果 | 必須(議案ごとの賛否・可決/否決) | 必須(決議事項・賛否) |
| 出席役員氏名 | 必須(出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人。72条3項4号) | 条文が挙げるのは執行役・会計参与・会計監査人・株主(101条3項7号)。出席取締役・監査役は369条3項の署名/記名押印で残る |
| 意見・発言の概要 | 該当する意見・発言があったときは必須(72条3項3号) | 該当する意見・発言があったときは必須(101条3項6号)。特別利害関係を有する取締役がいるときはその氏名も(同5号) |
| 議長氏名 | 必須 | 必須 |
| 署名・記名押印 | 法定義務なし(実務上は慣行) | 必須(出席取締役・出席監査役全員) |
| 議事録作成者 | 必須(作成に係る職務を行った取締役の氏名。72条3項6号) | 条文上の記載事項ではない(101条3項に定めなし。書くこと自体は差し支えない) |
議事録作成の3原則
議事録は「事実」「決定事項」「ToDo」を明確に分離することで、後から読み返したときの活用度が大きく変わります。
- 事実(議論の経過): 誰が何を発言したか・どんな論点が出たかを客観的に記録。主観的評価や感情的表現は入れない
- 決定事項: 「何が決まったか」を端的に1行ずつ。曖昧表現(前向きに検討、おおむね合意 等)は避ける
- ToDo(次のアクション): 「誰が・何を・いつまでに」の3点セットで記載。担当者と期限が抜けたToDoは形骸化する
5W2Hで漏れなく記録
議事録に記載すべき情報は 5W2H の枠組みで整理できます。
| 要素 | 記載内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| When(いつ) | 会議の日時・開始・終了時刻 | 2026年5月12日 14:00〜15:00 |
| Where(どこで) | 会場・オンライン(URL) | 第2会議室 / Zoom |
| Who(誰が) | 出席者・欠席者・書記担当 | 出席: 田中・鈴木・山田 欠席: 佐藤 |
| What(何を) | 議題・決定事項 | Q2販売戦略の方向性決定 |
| Why(なぜ) | 会議の背景・目的 | Q1実績を踏まえた施策見直し |
| How(どのように) | 議事の概要・検討内容 | 3案を比較検討し、案Bを採用 |
| How much(いくらで) | 必要なら予算・工数・期間 | 予算50万円以内・6月末完了目標 |
特に重要なのが決定事項を明確に記録することです。「次のアクション / 担当者 / 期限」の3点セットで書くと、後から読み返したときに何をすべきかが一目でわかります。
効率的な議事録作成のコツ
議事録作成を効率化するには、「記録する」より「整理する」に時間を使う発想が鍵です。下書きはAI・テンプレに任せ、人間は構造化と確認に集中します。
- リアルタイム入力: 会議中に決定事項・ToDoを直接タイピング。終了時には9割完成している状態を目指す
- テンプレ活用: 議題・決定事項・ToDoの3ブロックを事前にテンプレ化。空欄を埋める発想で高速化
- AI議事録ツール: Notta・toruno・スマート書記等で音声→文字起こし→要約まで自動化(後述)
- 当日中の共有: 議事録は会議当日中に参加者・関係者へ共有。記憶が新しいうちにレビュー・補正してもらう
- ToDoはタスク管理ツールへ転記: 議事録に書きっぱなしにせず、Notion・Asana・Backlog等の担当者タスクへ即転記
議事録の保存期間
議事録の保存期間は会議の種類によって異なります。 会社法318条・371条 による法定保存期間は厳守必須です。
- 株主総会議事録: 本店10年・支店5年(会社法318条)
- 取締役会議事録: 本店10年(会社法371条)
- 監査役会議事録: 本店10年(会社法394条)
- 社内会議議事録: 法的義務なし。3〜5年保管が一般的(社内規程に従う)
- 1on1議事録: 評価期間中(半期〜1年)+ 人事査定後1年程度の保管が無難
電子保存は会社法施行規則72条4項・101条4項により明示的に認められています。改ざん防止措置(タイムスタンプ・電子署名)と検索性の確保が推奨されます。
議事録の5パターン使い分け
会議の性質によって最適な議事録フォーマットが異なります。本テンプレートには5つのパターンを同梱しています。
| パターン | 向いている会議 | 特徴 |
|---|---|---|
| 部門会議(標準版Wordに収録) | 通常の社内会議・週次定例 | 議題・決定事項・次のアクションをシンプルに記録。最も汎用的 |
| 取締役会(標準版Wordに収録) | 取締役会・複雑な意思決定会議 | 議題ごとに発言内容を記録。誰が何を発言したかを詳細に残す |
| 1on1 | 上司部下の面談・キャリア面談 | 業務進捗+個人の話題を分けて記録。双方が参照できる構成 |
| ブレスト | アイデア出し・企画立案会議 | 評価せずアイデアを自由記述。後からグルーピング・絞り込みしやすい |
| スプリントレトロスペクティブ | アジャイル・スクラム開発チームのスプリント振り返り | KPTで課題を整理し、ベロシティを記録して次のスプリント計画に反映 |
標準版・1on1専用・ブレスト専用は社内の意思疎通を記録する議事録です。スプリントレトロスペクティブだけは、開発チームの改善サイクルを回すための議事録という位置づけになります。
スプリントレトロスペクティブ議事録(アジャイル・スクラムチーム向け)
スクラムやカンバンでスプリント単位の開発を回しているチームは、通常の会議議事録とは別にスプリント終了時の振り返り専用の記録が必要になります。本テンプレートには スクラムガイド2020年版 の考え方に沿った、KPTの記入欄とベロシティの記録欄を備えた専用Wordを同梱しています。
スプリントレトロスペクティブとは
スプリントレトロスペクティブは、スプリントの最後に行うアジャイル開発特有の振り返りです。 スクラムガイド2020年版 は、その目的を「品質と効果を高める方法を計画すること」と定義しています。スクラムチームは、個人・相互作用・プロセス・ツールの観点でそのスプリントがどう進んだかを検査し、うまくいったこと・発生した問題・その対応状況を話し合います。スプリントが1か月の場合、スプリントレトロスペクティブの時間は最大3時間です。
KPT(Keep / Problem / Try)の書き方
スプリントレトロスペクティブの議事録は、多くのチームがKPTという3分割の型で整理します。
- Keep(継続): 続けたい良かったことを具体的に書く。「レビューが早かった」ではなく、何をしたから早くなったかまで残す
- Problem(問題): 発生した問題・障害を書く。原因まで分かっているものは原因も併記する
- Try(次に試すこと): 次のスプリントで試すアクションを書く。担当者と期限をセットで記録する点は、通常の会議議事録のToDoと同じ考え方
ベロシティを議事録に残す意味
ベロシティは、そのスプリントで完了したストーリーポイントの合計です。KPTが「質」の振り返りだとすると、ベロシティは「量」の振り返りにあたります。
- コミットした量と完了した量の差(キャリーオーバー)を残すと、見積もりの精度が次第に上がっていく
- 直近数スプリントの平均と比べて増減を記録しておくと、次のスプリントに乗せられるタスク量を判断しやすくなる
- ベロシティが下がったスプリントは、Problemの記述と突き合わせると原因を特定しやすい
一般的な会議議事録との違い
通常の会議議事録は「何が決まったか」を記録する場です。一方でスプリントレトロスペクティブは「次のスプリントをどう改善するか」を決める場です。決定事項をそのまま記録するのではなく、KPTで出た課題をTryのアクションに変換することが議事録作成の目的になります。
AI議事録ツールで自動化する方法
テンプレートを使った手書き記録が議事録の基本ですが、AI議事録ツールを活用することで記録業務を大幅に効率化できます。
AI議事録ツールでできること
- 会議の音声をリアルタイムで文字起こし
- 話者を識別して「誰が何を言ったか」を自動記録
- 会議後に要約・決定事項・タスクを自動抽出
- Zoom・Microsoft Teams・Google Meet と連携して自動録音
主要AI議事録ツール比較
| ツール | 日本語対応 | Zoom/Teams連携 | 料金目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Notta | 対応 | 対応 | 月額¥1,000〜 | 話者識別・要約・タスク抽出まで全自動。14日間無料トライアルあり |
| Otter.ai | 英語メイン | 対応 | 月額$10〜 | 英語会議に強い。日本語は精度が下がる場合あり |
| toruno | 対応 | 対応 | 月額¥880〜 | リコー提供。日本語特化・議事録の承認フロー付き |
| スマート書記 | 対応 | 対応 | 要問い合わせ | 企業向け・セキュリティ重視の法人プラン |
議事録作成、会議中から自動完成に変わります
AI議事録ツール Notta なら、会議の音声から自動で議事録を生成。話者識別・要約・タスク抽出まで全自動。手書きメモから解放されます。
- 月額¥1,000〜(個人プラン)
- Zoom・Teams・Google Meet 連携
- 話者識別・自動要約・タスク抽出
- 14日間無料トライアルあり
Notionで議事録を蓄積・共有する
議事録は作って終わりではなく、蓄積して検索できる状態にすることで本来の価値が発揮されます。Notionはチームでの議事録管理に適したツールです。
Notionで議事録を管理するメリット
- 全文検索: 「あの案件の会議」を瞬時に検索できます
- テンプレート再利用: 毎週の定例会議テンプレートをボタン1つで複製
- チーム共有: 参加者・不参加者・後から参加したメンバーが同じページを閲覧
- タグ管理: プロジェクト・部署・会議種別でフィルタリング
- 外部連携: Slack・Google Drive・GitHub と連携してタスク管理を一元化
Word/エクセルでテンプレートを快適に編集するには
本サイトのWordテンプレートはMicrosoft 365(最新版Word)での利用を推奨しています。旧バージョンのWordでは一部レイアウトが崩れる場合があります。
- Microsoft 365 では共同編集・OneDrive自動保存・Teams連携が使えます
- エクセルテンプレートもMicrosoft 365で開くと数式・条件付き書式が正常に動作します
- 個人プランは月額¥1,490〜。Word・エクセル・PowerPoint・OneDrive 1TB・Teams ビデオ会議が一括利用できます
よくある質問
議事録は誰が作成すべきですか?
株主総会議事録は誰が作成する?
議事録の保存期間は?法律上の義務はありますか?
議事録に署名押印は必要?
議事録の電子保存は認められる?
議事録を作成しなかった場合の罰則は?
AI議事録ツールの精度は低くないですか?
議事録に発言者の名前を全員分書くべきですか?
1on1議事録は誰が保管すべきですか?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。