AI議事録ツールの選び方:4つの判断軸
AI議事録ツールは2026年時点で十数種類が存在します。 料金・機能が似通って見えますが、会議の形式・言語・セキュリティ要件によって最適なツールは異なります。 以下の4軸で自社の要件を整理してから選ぶと失敗が少なくなります。
1. 文字起こし精度(日本語・英語・専門用語)
日本語会議が中心なら日本語に特化して開発されたツールを選ぶことが精度向上の最短経路です。 Notta・torunoは日本語認識エンジンに力を入れており、静かな環境・明瞭な発話では90%超の精度が出るケースも報告されています。 Otterは英語ネイティブ設計のため、英語会議には強い一方、日本語会議では認識ミスが増える傾向があります。 専門用語が多い業界(医療・法律・IT・製造)は、ユーザー辞書登録ができるツールを選ぶと改善幅が大きくなります。
2. 話者分離機能(誰が発言したか)
複数人が参加する会議では「誰が何を言ったか」の記録が重要です。 話者分離(Speaker Diarization)は、音声から発言者を自動識別してラベルを付ける機能です。 Notta・tl;dv・Otterは話者分離に対応していますが、精度は参加者数・音声品質・事前登録の有無によって変わります。 PLAUDはICレコーダー型のため、対面会議での複数人同時発話でも録音品質が維持しやすい特長があります。
3. 連携機能(Zoom・Teams・Google Meet)
オンライン会議が中心なら、会議ツールとのネイティブ連携の有無が生産性を大きく左右します。 tl;dvはZoom・Microsoft Teams・Google Meetの3大ツールにフル対応し、ボット参加で自動録音・リアルタイム文字起こしを実現します。 Notta・OtterもZoom/Teams/Meetに対応しています。 一方、PLAUDは対面会議向けの設計で、オンライン会議への自動連携は限定的です。
4. 料金(個人 vs 法人プラン・無料枠)
個人利用なら月額¥1,000〜2,000程度のプランで主要機能をカバーできます。 10名以上のチーム導入を検討するなら、ユーザーあたりの単価・管理者機能・SSO対応を確認してください。 まず無料枠で2週間試用し、自社の会議環境で精度を実測することを強く推奨します。 無料枠の分数制限・機能制限は各ツールで異なるため、後述の比較表で確認してください。
主要AI議事録ツール5選 完全比較(2026年5月時点)
以下の比較は公式サイト・公開情報をもとにまとめています。 料金は税込み換算の目安であり、プラン変更・為替レートによって変動します。 最新の料金・機能は各社公式サイトでご確認ください。
| ツール | 無料枠 | 有料プラン(税込目安) | 日本語精度 | 対応言語数 | 話者分離 | Zoom/Teams/Meet | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Notta | 120分/月 | Pro: ¥1,317〜/月(年払い) | 高 | 58言語 | 対応 | Zoom / Teams / Meet | 日本語特化・自動要約・タスク抽出・ユーザー辞書登録 |
| PLAUD NOTE | 基本機能のみ(本体買い切り) | 本体¥27,500+月額プランあり | 高(ローカル処理選択可) | 90以上 | 対応 | 対面会議向け(連携は限定的) | ICレコーダー型・ChatGPT連携・ローカル処理でセキュリティ対応 |
| Otter.ai | 300分/月 | Pro: 約¥1,250/月($8.33・年払い) | 中(英語特化) | 主に英語 | 対応 | Zoom / Teams / Meet | 英語会議に最強・無料枠が最大・グローバル企業向け |
| tl;dv | 10MTG/月 | Pro: 約¥3,000/月($20・年払い) | 中〜高 | 30以上 | 対応 | Zoom / Teams / Meet(完全対応) | オンライン会議特化・会議クリップ・タイムスタンプ共有 |
| toruno | 2時間/月 | ¥3,000〜/月(リモートワークプラン) | 高(日本語特化) | 主に日本語 | 対応 | Zoom / Teams / Meet | リコー提供・議事録承認フロー・企業向けセキュリティ |
日本語会議の文字起こしはNottaが最多選択
AI議事録ツール Notta は日本語対応58言語・話者分離・自動要約・タスク抽出まで全自動。Zoom/Teams/Meet 自動参加で会議中に手を動かす必要がありません。月額¥1,317〜(年払い)、14日間無料トライアルあり。
- 月額¥1,317〜(Proプラン・年払い)
- 無料枠120分/月でまず試用可
- Zoom・Teams・Google Meet 自動参加
- 話者識別・要約・タスク抽出・ユーザー辞書登録
Notta(日本語特化・個人から法人まで)
日本法人が日本語ユーザー向けに最適化した議事録ツールです。 Zoom・Teams・Meet にボット参加して自動録音・リアルタイム文字起こし・要約を生成します。 ユーザー辞書への専門用語登録、発言者ごとのラベル管理、タスクの自動抽出機能を備えています。 個人Proプランは年払いで月額¥1,317〜と費用対効果が高く、日本語会議が中心のチームに適しています。
- 無料枠: 120分/月・ファイルアップロード3件/月
- 強み: 日本語精度・ユーザー辞書・タスク抽出・14日間無料トライアル
- 注意点: 無料枠は月120分のため、会議が多い月は早期に上限に達する場合がある
PLAUD NOTE(ICレコーダー型・対面会議向け)
カード型の専用ハードウェアに録音・文字起こし・要約機能を搭載したデバイスです。 スマートフォンを会議中に操作する必要がなく、卓上または胸ポケットに置くだけで録音が開始されます。 ChatGPTエンジンを使った要約と90以上の言語対応が特徴で、グローバル企業の対面会議にも対応します。 ローカル処理モードを選択することで、クラウドに音声を送らずに処理できるため、機密性の高い会議での利用を検討する企業に選ばれています。
- 料金: 本体買い切り¥27,500+必要に応じて月額プラン
- 強み: 対面会議の録音品質・ローカル処理・ChatGPT要約・90以上の言語
- 注意点: Zoom等のオンライン会議への自動参加機能は非対応
対面会議の録音ならPLAUD NOTEが選ばれる理由
PLAUD NOTE はカード型AIレコーダー。卓上に置くだけで高品質録音・文字起こし・要約を自動実行。ローカル処理モードで機密音声をクラウドに送らない運用も可能。本体買い切り¥27,500。
- 本体買い切り¥27,500(月額なしのプランあり)
- ChatGPT搭載・90以上の言語に対応
- ローカル処理でクラウド非送信の選択可
- 対面会議でも卓上設置で高品質録音
Otter.ai(英語特化・最大の無料枠)
英語ネイティブ設計のAI議事録ツールで、英語会議の認識精度はトップクラスです。 無料枠が月300分と業界最大水準のため、英語会議が多い個人ユーザーの試用コストが最も低いツールです。 Zoom・Teams・Meetに対応し、会議中にライブキャプション表示ができます。 日本語会議では認識精度が下がる傾向があるため、日本語のみの会議にはNottaかtorunoを推奨します。
- 無料枠: 300分/月(業界最大水準)
- 強み: 英語精度・ライブキャプション・豊富な無料枠
- 注意点: 主に英語対応。日本語会議には精度不足のケースあり
英語会議・グローバルチームならOtter.aiが最適
Otter.ai は英語会議の文字起こし精度がトップクラス。無料枠300分/月で試用ハードルが低く、Zoom/Teams/Meetに完全対応。Pro プランは月$8.33(年払い)。
- 無料枠300分/月(業界最大水準)
- Zoom・Teams・Google Meet 自動参加
- 英語会議の文字起こし精度が高い
- Proプラン月$8.33〜(年払い)
tl;dv(オンライン会議特化・タイムスタンプ共有)
Zoom・Teams・Meetの3大ツールに完全対応し、会議の特定タイムスタンプをクリップ共有できるのが最大の差別化点です。 営業・採用・UXリサーチなど「会議の特定発言を後からチームに共有したい」用途に向いています。 無料枠は月10MTGまでで、コスト意識が高いスタートアップに採用されやすいツールです。
- 無料枠: 10MTG/月
- 強み: タイムスタンプクリップ・3ツール完全対応・スタートアップ向けコスト
- 注意点: 日本語精度はNottaやtorunoより劣る場合がある
会議の重要シーンだけを切り取って共有 tl;dv
tl;dv はZoom/Teams/Meetに完全対応。会議のタイムスタンプをクリップして共有する機能が強力で、営業・採用・UXリサーチに活用されています。無料枠10MTG/月。Proは月$20〜。
- 無料枠10MTG/月でまず試用可
- Zoom・Teams・Google Meet 完全対応
- タイムスタンプクリップで特定発言を即共有
- Proプラン月$20〜(年払い)
toruno(日本語特化・承認フロー付き)
リコーが提供する日本語特化のAI議事録ツールです。 議事録の承認フロー機能を持ち、担当者が確認・承認した後に正式議事録として確定できます。 官公庁・金融・製造など承認プロセスが重視される組織での採用実績があります。 Zoom・Teams・Meetに対応し、リモートワーク向けのプランは月額¥3,000〜です。
- 無料枠: 2時間/月
- 強み: 日本語精度・承認フロー・企業向けセキュリティ・リコーの信頼性
- 注意点: 個人利用より組織・法人向けの設計
議事録承認フロー+日本語精度 torunoの法人対応
toruno(リコー提供)は日本語特化のAI議事録ツール。確認・承認フローを組み込めるため、官公庁・金融・製造など正式記録が必要な組織に選ばれています。無料枠2時間/月。
- 無料枠2時間/月で試用可
- 日本語認識精度が高い
- 議事録承認フロー機能付き
- Zoom・Teams・Meet 対応
シーン別おすすめAI議事録ツール
会議の形式・言語・チーム規模によって最適なツールは異なります。 以下の早見表を参考に、自社のユースケースに最も近いツールを選んでください。
| シーン | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| オンライン会議メイン(日本語) | Notta / tl;dv | Zoom/Teams/Meet自動参加・日本語精度・タスク抽出 |
| 対面会議メイン | PLAUD NOTE | 専用ハードウェアで対面録音品質が高い・ローカル処理選択可 |
| 日本語の正式議事録が必要 | Notta / toruno | 日本語精度重視・torunoは承認フロー付き |
| グローバル会議(英語メイン) | Otter.ai | 英語認識精度トップクラス・無料枠300分が最大 |
| 特定発言をクリップ共有したい | tl;dv | タイムスタンプクリップ機能・3ツール完全対応 |
| 機密会議・セキュリティ重視 | PLAUD NOTE / toruno | PLAUDはローカル処理選択可・torunoは法人向けセキュリティ |
| 個人・コスト最小化 | Notta(無料枠)/ Otter(無料枠) | 無料枠で月の大半をカバーできる場合あり |
AI議事録ツール導入の3ステップ
ツールを選んだ後、実務に定着させるまでの流れを3ステップで整理します。 導入が形骸化しやすいのは「試用で終わってしまう」パターンです。 以下の手順で意思決定・評価・運用設計まで一気に進めてください。
Step 1: 無料枠で2週間試用する
まずNotta・Otter・tl;dvのうち自社環境に近いツールを1〜2本選び、無料枠で実際の会議に投入します。 試用期間中は以下を記録してください。
- 会議ごとの文字起こし所要時間
- 認識ミスの件数(専門用語・人名・数字)
- 話者ラベルの正確さ
- 連携ツールとの操作感(Zoom参加のスムーズさ等)
Step 2: 文字起こし精度をExcelで採点する
試用期間中に録音した会議5件を使い、「誤認識率」= 誤認識単語数 / 全単語数を算出します。 計算が面倒な場合は、議事録を通読して「そのまま使えるか・修正が必要か・使えないか」の3段階で採点するだけでも十分です。 Excelのタスク管理テンプレートに採点結果を記録しておくと、複数ツールの比較が容易になります。 議事録テンプレート Excel版はタスク管理・集計シート付きで、この評価表としても活用できます。
Step 3: 既存の議事録テンプレートと連携した運用設計をする
AI出力をそのまま議事録にするのではなく、既存のWord・Excelテンプレートとの役割分担を決めることが長続きの秘訣です。 推奨する運用は後述の「Word/Excel議事録テンプレートとの併用」セクションで解説します。
Word/Excel議事録テンプレートとの併用
AI議事録ツールは「書くコストをゼロにするツール」ではなく、「下書きを自動生成するツール」です。 AIが生成したテキストをWord・Excelの議事録テンプレートに組み込む運用が、精度と効率を両立させる現実解です。
AI出力をWord議事録に整形する手順
- 会議終了後、AIが生成した文字起こし・要約テキストをコピー
- 議事録テンプレート Word版を開き、「議事の概要」欄にペースト
- 誤認識・専門用語・固有名詞を人間が確認・修正(通常5〜10分)
- 「決定事項」「次のアクション」「担当者・期日」を正確に記入して確定
この運用なら、書記担当が会議中に一言も打たなくても、終了後15分以内に正式議事録が完成します。 Word版は縦書き対応・フォント・余白が整えられており、そのまま取引先に送付できる品質です。
AI出力をExcelタスク管理シートに転記する手順
- AIが自動抽出した「タスク一覧」をコピー
- 議事録テンプレート Excel版のタスク一覧シートに転記
- 担当者・期日・ステータスを設定(プルダウン選択)
- COUNTIF関数で担当者別の未完了タスク数が自動集計される
タスク転記は1〜3分で完了します。翌週の会議冒頭で「誰に何件のタスクが残っているか」を一覧確認できます。
| AI出力の種類 | 使うテンプレート | 使い方 |
|---|---|---|
| 文字起こし全文・要約 | Word議事録テンプレート | 議事欄にペースト・誤認識修正・決定事項を記入 |
| タスク自動抽出結果 | Excel版タスク管理シート | タスク一覧シートに転記・担当者・期日を設定 |
| 会議全体の要約 | 議事録テンプレート(標準) | 「議題の概要」欄に挿入・決議事項を確定 |
Word・Excelの議事録テンプレートは、AI議事録ツールを導入しても並行して使うことを推奨します。 AIの出力は会議内容の網羅性を高めてくれますが、正式記録としての形式整合・決議事項の確定は人間の確認が不可欠です。 テンプレートDLは下記ボタンから会員登録不要で即ダウンロードできます。
セキュリティ・機密情報の取扱い
AI議事録ツールを導入する際に最も懸念されるのが機密情報の取扱いです。 特に金融・法律・医療・製造分野では、会議音声をクラウドに送信することに対してコンプライアンス部門からの承認が必要なケースがあります。
クラウド処理 vs ローカル処理
| 処理方式 | メリット | デメリット | 該当ツール |
|---|---|---|---|
| クラウド処理 | 高精度・多言語・自動要約 | 音声がサーバーに送信される | Notta・Otter・tl;dv・toruno |
| ローカル処理(選択可) | 音声をクラウドに送らない | 一部機能が制限される場合あり | PLAUD NOTE |
議事録の保存先・暗号化
- Notta・tl;dv: データはSSL暗号化通信でサーバーに保存。エンタープライズプランではデータ処理地域(日本リージョン等)の指定が可能な場合があります(公式サイトで最新情報をご確認ください)。
- PLAUD NOTE: ローカル処理モードを選択した場合、音声データはデバイス内に留まります。
- toruno(リコー提供): 国内データセンター運用・ISO 27001取得相当のセキュリティ体制(最新情報は公式サイトをご確認ください)。
GDPR・個人情報保護法への対応
EU域内にいる参加者が会議に含まれる場合、GDPR(EU一般データ保護規則)の適用を受ける可能性があります。 会議録音前に参加者全員の同意取得、データの利用目的明示が必要です。 国内の日本語会議でも個人情報保護法(改正2022年施行)により、参加者の発言を含む音声データは個人情報として取り扱う必要があります。 社内規程・情報セキュリティポリシーを確認した上でツールを導入してください。
導入企業の規模別 選び方ガイド
個人事業主・フリーランス
クライアントとのMTG・業務委託先との連絡会議が中心であれば、無料枠内で運用を始めることを推奨します。 Notta(120分/月)またはOtter(300分/月)の無料プランで試用し、月の会議総時間が無料枠を超えた時点で有料プランに移行するのが合理的です。 月額¥1,000〜1,500の個人Proプランで大半のユースケースをカバーできます。
- 推奨: Notta Proプラン(月額¥1,317〜・年払い)
- 英語会議が多い場合: Otter Proプラン(月$8.33〜・年払い)
- 対面打ち合わせが多い場合: PLAUD NOTE(買い切り¥27,500)
スタートアップ・10名以下のチーム
全員が同じツールを使って会議録を共有・検索できる環境が重要です。 tl;dvのチームプランまたはNottaのビジネスプランを検討してください。 無料プランから始めて2週間運用し、チームの合意が取れた段階で有料移行するステップを推奨します。
- 推奨: tl;dv Pro(月$20〜・年払い)またはNotta Business
- 選定基準: チーム共有機能・管理者ダッシュボード・利用量レポートの有無
大企業・エンタープライズ
SSO(シングルサインオン)・IP制限・データ処理地域の指定・監査ログ出力が要件になるケースが多いです。 Notta・toruno・tl;dvはエンタープライズプランを提供しており、要件を個別に調整できます。 導入前に情報セキュリティ部門のレビューと、ベンダーセキュリティアンケートへの回答を義務付けることを推奨します。
- 推奨ツール: toruno(リコー・国内法人向け)/ Notta Business / tl;dv Enterprise
- 確認事項: SSO・データ処理地域・ISO 27001取得・監査ログ・DPA(データ処理契約)締結可否